英語が得意な日本人

*本編は完全なる創作物です。登場人物や地名、組織名などはすべて空想上のものであり、仮に現実に合致するものがあったとしてもそれらとは何ら関係がございません。

 輸入販売業のジェイ商事では年に一回程度の頻度で営業職社員を集団で外国へ出張させている。それらは「取り扱いメーカー視察」「メーカー発掘のため各種メーカー出展の展示会視察」などとの理由があったがその成果を期待されていなかったので、福利厚生の一環である。非常に良い会社だ。輸入部署の社員が必ず引率し、まるで団体旅行のようだ。輸入部署の社員はこの外国への出張についてすべての参加者の航空券、ホテルの手配と支払いを実施する。訪問したら通訳として働き、夜は予め調べておいたレストランへ皆を誘導する。支払いはすべて輸入部署持ち。輸入業務とは無関係な仕事だがこれらがうまくて昇進したのが輸入部署の日本人ビイ氏だった。ちなみにビイ氏のメーカーに対する態度は前回の通りである。ちなみに内勤に人たちにヨーロッパを体感させるべく、社員旅行は2週間のヨーロッパツアーだったりする。

 なぜかエヌ氏はジェイ商事に入社以来毎年ヨーロッパで開催される展示会への視察出張が命じられてきた。ある年にフランクフルト am Mainで実施される展示会へイィ社が出展するとのことなので、エヌ氏が1日だけ説明要員として立たせてくれないかとの提案をすることとなった。提案自体はエヌ氏の発案だがこれをイィ社へ伝えるのは輸入部署の仕事であるようだった。エヌ氏はビイ氏にE-mailにて「展示会場で説明員として1日だけエヌ氏にも参加させていほしい。日本人以外の来場者にもご要求を聞いたりシステムの説明をするから。」という旨を伝えていたが、ビイ氏はエヌ氏に対して「提案内容を詳しく説明してほしい。」と、電話で聞いてきた。

 電話の内容はこうだった。「”日本人以外”とはどうゆう意味なのか。」

 英語が得意と自慢していたビイ氏だったが日本語は不得手なのか?と、エヌ氏は思ったが回答した。

「展示会場には日本人はほとんど来ないでしょう。だからと言ってブースにいるのに知らん顔をできないし、それだと手伝うことにならないから、日本人以外の人が来場しても対応するという意味です。」

 するとビイ氏はまた聞いてきた。「だから”日本人以外”って何人を指すんですか?」と。

 エヌ氏は答えた。「文字通り日本人以外でもですよ。アメリカ人でもドイツ人でも中国人でも誰が来てもです。」と。

 後日ビイ氏がイィ社へ送ったE-mailがエヌ氏にもccされてきた。その内容はこうだった。

「次回貴社が出展される展示会に弊社社員貴社担当のエヌ氏を1日だけ説明要員としてブースに立たせてもらえないでしょうか。日本人以外に、アメリカ人、ドイツ人、中国人が来場した場合には対応させます。」

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