ハンドヘルド蛍光Ⅹ線(XRF)元素分析装置の選定方法(廃プラスチック中間処理業者様の場合)

 私は会社勤めをしていた時に合計5年以上の売り手側の経験があり2年半以上ブルカージャパンでハンドヘルド蛍光Ⅹ線元素分析装置と全反射蛍光Ⅹ線元素分析装置のセールス・アプリケーションマネージャーをしておりました。さまざまなお客様との折衝で得たお言葉などを基にして、逆にお客様側から機材を選定するのによい方法を披露いたします。

 廃プラスチックお取り扱いの中間処理業者様は、廃プラスチックを破砕、圧縮、選別、洗浄などの処理をして、マテリアルリサイクル: 再びプラスチック製品の原料にする。ケミカルリサイクル: 化学的に分解して油やガス・原料に戻す。サーマルリサイクル: 焼却して熱エネルギーや固形燃料(RPF)として回収する。と、いうリサイクルやそれができない場合は埋め立て処理業者へお渡しするものと認識しております。

 プラスチック循環利用協会の最新推計による内訳は以下の通りです。(https://www.pwmi.or.jp/column/column-2700/)

 サーマルリサイクル(熱回収): 67% 焼却時の熱を発電や温水利用、固形燃料(RPF)として利用する手法です。日本のリサイクルの大部分を占めています。

 マテリアルリサイクル(材料再生): 20% 溶かして別のプラスチック製品に再生する手法です。このうち約6割は海外へ再生原料などとして輸出されています。

 ケミカルリサイクル(化学的再生): 3% 化学的に分解して、ガスや油、化学原料として再利用する高度な技術です。コストや設備面の壁があり、割合は低く留まっています。

 残り11%の未利用分は、エネルギー回収を行わない「単純焼却(8%)」や「埋立(4%)」に回されています。

 さて、燃料化する場合に対象プラスチック材料がポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンを含有しないことが重要です。これらプラスチックは燃焼時に塩酸ガスを生成するため焼却炉やボイラーを傷めます。これら以外の主要流通プラスチックはほぼ炭素、水素。酸素から形成されているため完全燃焼させると水と二酸化炭素になります。

 材料再生(20%)には各種プラスチックを材料ごとに区別する必要があり、そのための機材が市販されております。

株式会社山本製作所「ぷらしる」https://www.yamamoto-ss.co.jp/sp_recycle/products/placil

5年以上前から販売している実績が大きい機材です。専用光源と赤外線吸光分光光度計に独自アルゴリズムによるプラスチック種判別を実現しています。

リコー「樹脂判別ハンディセンサー(RICOH HANDY PLASTIC SENSOR B150)」https://www.ricoh.co.jp/products/list/ricoh-handy-plastic-sensor-b150#about

この商品は今年発売の新製品のようであり、大手企業の後発製品ということで色々と付帯的な便利機能が搭載されており、価格も「ぷらしる」と同程度のようです。

 さて、廃プラスチックの主要リサイクル先(67%)の「燃料化」のためには、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンを除去する必要があります。そのためには対象廃プラスチックの塩素濃度を測定することが簡単、確実な方法です。これらのプラスチックは純物質の時に重量比率約57%が塩素ですが、これらは純物質で使用されることはほとんどなく可塑剤その他の混合物を含みます。塩酸ガスを発生させる塩素濃度を測定することにより、燃料としての資質を決定できます。

 ハンドヘルド蛍光Ⅹ線元素分析装置はまさにこのようなご要望にぴったりな機材でございます。日光やその他光源が存在しましても蛍光Ⅹ線による測定には何ら影響はございません。架橋が切れている塩ビなどでも塩素そのものを検出しますのでやはり問題ありません。また、蛍光Ⅹ線元素分析装置は塩素以外の元素も同時に測定できますので、例えば硫黄、クロム、ヒ素、臭素、カドミウム、水銀、鉛などの有害元素の検出測定も実施できます。

「”ぷらしる”などの赤外線装置の方が多くのプラスチック種を判別できるし安価なのだからⅩ線装置よりも良いのでは?」と、お考えになる方が多いと感じております。

 ここで一度立ち止まってよく考えてみてください。

 塩ビなどを含まない(すなわち燃焼しても塩酸ガスを発生しない)ということを担保するためには、そのプラスチックに塩素を含まないことを証明することが確実な方法ではないでしょうか。

 赤外線装置は対象物質の官能基を測定しています。塩素含有の判定はC-Cl結合の吸収波長を見ているわけです。しかしこの方法では塩素含有を確実には検知できません。

 プラスチックは日光のもとで架橋が切れますし、そもそも日光下では測定できませんし、また黒色など赤外線を大きく吸収するプラスチックを判別できません。赤外線装置は安価ですが「プラスチック種別判別機」であり、「塩素濃度測定機」ではないのです。

 すなわち、赤外線装置では「塩素濃度を測定していない」「誤判定や判別不能も多い」というものです。対象プラスチックの官能基を測定して「プラスチック種を判別する」という目的に合致して設計されているものです。燃焼時に塩酸ガスを発生させないためには塩素濃度を測定することが重要で確実です。

 誰がやっても短時間で簡単に同じ測定結果を出せるのがⅩ線装置です。プラスチック中の塩素濃度測定を確実に実施するためにはこのような機材が最適です。ブルカーハンドヘルド蛍光Ⅹ線元素分析装置をご購入のお客様の中には「塩素濃度1%以上のプラスチックは燃料化しない」という基準を設けられている企業様もいらっしゃいます。このようなことを塩素濃度を測定できない赤外線装置では全くできません。

 卓上型の蛍光Ⅹ線元素分析装置とは異なり、ハンドヘルド蛍光Ⅹ線元素分析装置はバッテリーで駆動しどこへでも持ち運べて誰でも安全に操作できます。測定時間は長くても20秒。ブルカーTITANではプラスチック中の塩素濃度測定能力は検出下限値が8ppm,測定範囲が0.003(30ppm)~25%(純塩ビは60%超ですが塩ビ含有判定には十分使用できます。)これはRPF品質検査(塩素濃度3000ppm付近の判別)にも十分に耐える性能であり、実際に複数のRPF製造業者様にてご採用いただいています。また弊社ではRPF品質検査用に「塩素濃度標準試料」を販売しております。

 アフターサポートにつきましてもビトネスは他社では実施していないことを行っております。

 ブルカーは検出器が壊れないしメーカー保証1年間のほかビトネスが無期限に電話やメールでのサポートを無料で実施しております。またビトネスはエックス線作業主任者免許を持つ人員がサポートいたしますので、機材運用におけるエックス線被ばくについての説明も受けられます。ビトネスだけのアフターサービスの一環といたしまして、機材ご購入後の従業員様への「特別教育(2026年4月に義務化された”労働安全衛生規則と電離放射線障害防止規則の改定によるハンドヘルドXRF元素分析装置に関する特別教育実施”)」を追加料金無しにて実施させていただきます。(テキストはビトネスが指定する書籍を書店やアマゾンなどで事前に受講者様分ご購入ください。)

 最後に会社の信用度でしょうか。高価な機材をご購入されるにあたりまして、やはり小企業から購入することにご不安を抱かれるのは当然です。ブルカー正規代理店の新興精機の営業委託先としてビトネスは活動しておりますので、売買契約は新興精機と行っていただくこととなり、弊社のような小企業が介することはありませんので心配ご無用です。

 中間商社様について。お客様の出入りされているなじみの商社様へまず相談されてからお問い合わせを商社様からいただくことが多いようです。ここで中間商社様にお願いがございます。ブルカーは多くの製品を販売しており正規の代理店契約は製品ごとに締結しているようです。少なくともハンドヘルド蛍光Ⅹ線元素分析装置は正規代理店が現在2社しかございません。新興精機とジャパンマシナリーです。前述しました独自のアフターサポートや特長はビトネス固有すなわち新興精機だけのものですので、この記事やサイト、ビトネス広告をご覧になられた場合にはまず弊社ビトネスへご一報をいただきますようお願い申し上げます。

 また、ブルカー他製品の正規代理店様にて「うちはブルカーの正規代理店だからハンドヘルド蛍光Ⅹ線元素分析装置も売れるはず。」と、思われる方が多いように見受けられますが、ブルカーに連絡をされましても新興精機か弊社もしくはジャパンマシナリーを紹介されることになります。その場合はビトネスへご連絡をいただきますようお願い申し上げます。迅速なる対応をさせていただきます。

 

 次回はRPF品質検査について記述いたします。

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