私は会社勤めをしていた時に合計5年以上のXRF装置売り手側の経験があり2年半以上ブルカージャパンでハンドヘルド蛍光Ⅹ線元素分析装置と全反射蛍光Ⅹ線元素分析装置のセールス・アプリケーションマネージャーをしておりました。さまざまなお客様との折衝で得たお言葉などを基にして、逆にお客様側から機材を選定するのによい方法を披露いたします。
RPFはJISで規定された方法(JIS法(JIS Z 7302-6)の燃焼法)で品質検査しなければならないのですが、純粋に化学的方法ですので手間と時間がかかります。また破壊検査です。RPFの全数品質検査には使用できませんが、JIS Z 7302-6との強い相関性がある別手法で迅速に検査できたら素晴らしいと思いませんか?
当該JISは1999年に制定されました。
この年以降、主に島津製作所とオックスフォードインストゥルメンツの卓上型XRF元素分析装置がRPF製造業者様にて採用されてきました。また近年ではブルカー製品をはじめとしてもっと安価なXRF装置も採用されてきており、迅速RPF検査に寄与しております。
しかしながらXRF装置によるRPF品質検査には大きな問題が2つ存在しておりました。
一つは、JIS Z 7302-6とXRF装置の測定結果についての相関性が担保されていないことです。
JIS Z 7302-6では、「燃焼管式空気法 a) 原理 950℃〜1 100℃に加熱した石英製燃焼管中に空気を導入して試料を燃焼させ,生じたガスをJIS K 0557に規定する水(種別A2)に吸収させて塩酸とし,この塩素を定量する。」とのことですので、純粋に化学的手法であり破壊検査です。それに対してXRF元素分析法は試料に適切なエネルギーのⅩ線を照射して、塩素の蛍光Ⅹ線(特性Ⅹ線)を定量します。完全に物理的手法であり非破壊検査、JIS法とは全く異なります。これらの異なる方法で同一試料中の塩素濃度を合致させるための方法が必要でしたが、それは存在しませんでした。JIS法とは無関係にXRF装置メーカーが規定した試料中の塩素濃度測定結果で品質検査が実施されていました。
もう一つは、RPFの測定部位によって塩素濃度測定結果がが大きくばらつくことです。最高品質RPFは塩素濃度3000ppmと規定されていますので、RPFの品質検査では含有塩素濃度が3000ppm以下であることを証明しなくてはなりません。
RPFは原料を完全に混合されているわけではありませんので、RPFの部位によって塩素濃度がまちまちです。一般的には1つのRPFの3つの異なる部位にてXRF装置にて塩素濃度を測定し、その平均値を採用されていたようですが、一つの試料の塩素濃度測定に3回の測定実行が必要でした。
これら2つの問題を筆者が解決いたしました。この解決方法を特許化できると筆者は考えましたが当時勤務していた会社ではこの解決方法を特許化しなかったため、発明者の筆者が堂々と今も使用できます。もちろんこの記事を読まれた方々も使用できます。
筆者が開発した方法は次の通りです。
・JIS法とXRF法との測定結果に強い相関を持たせる方法。
同一試料を異なる手法で測定しても同じ結果が出るのであれば、これらの異なる手法は強い相関性があると言えますので、公定法(JIS法)に対して「公定法との同等性が確認された代替法」と言えます。筆者が開発した手法にて初めてXRF法がこの代替法として採用できます。
筆者が開発した「塩素濃度標準試料」を濃度を変えて4種類作製し、これらをJIS法で測定します。これら4種類の測定結果にてブルカーXRF元素分析装置内に検量線を作成します。そうしますとブルカーXRF装置の測定結果とJIS法の測定結果に相関係数0.999を達成いたしました。ブルカーハンドヘルドXRF元素分析装置は他社製品とは異なり検量線法により濃度定量を実行しますので、お客様の試料に対応する検量線を作成できるのです。この方法を開発する前に市販されている「塩素濃度標準試料」を探しましたが、RPF品質検査重要な数値である「塩素濃度3000ppm」付近の標準試料は発見できませんでしたので、筆者が作製しました。
・1回の測定実行でRPFの塩素濃度を決定する方法。
RPFは構成材質が不均一ですので測定部位によって塩素濃度結果が大きく変わります。従来は異なる3つの部位を測定してその平均値を「RPFの塩素濃度」とされていましたが、この方法ですと1つの試料に対して最低3回の測定実行が必要でした。新規手法ではRPFを回転させながら塩素濃度測定を実行することによりRPFの広範囲な部位の塩素濃度測定を1回で実施できるようになりました。Ⅹ線遮蔽された試料室内に回転機構が組み込まれたXRF装置がブルカーをはじめ各社から市販されていますがこれらは非常に高価です。筆者はこれを安価なハンドヘルドXRF装置で実現いたしました。
高価な機材をご購入されるにあたりまして、やはり小企業から購入することにご不安を抱かれるのは当然です。ブルカー正規代理店の新興精機の営業委託先としてビトネスは活動しておりますので、売買契約は新興精機と行っていただくこととなり、売買契約に弊社のような小企業が介することはありませんので心配ご無用です。
中間商社様へ。お客様の出入りされているなじみの商社様へまず相談されてからお問い合わせを商社様からいただくことが多いようです。ここで中間商社様にお願いがございます。ブルカーは多くの製品を販売しており正規の代理店契約は製品ごとに締結しているようです。少なくともハンドヘルド蛍光Ⅹ線元素分析装置は正規代理店が現在2社しかございません。新興精機とジャパンマシナリーです。前述しました独自のアフターサポートや特長はビトネス固有すなわち新興精機だけのものですので、この記事やサイト、ビトネス広告をご覧になられた場合にはまず弊社ビトネスへご一報をいただきますようお願い申し上げます。
また、ブルカー他製品の正規代理店様にて「うちはブルカーの正規代理店だからハンドヘルド蛍光Ⅹ線元素分析装置も売れるはず。」と、思われる方が多いように見受けられますが、ブルカーに連絡をされましても新興精機か弊社もしくはジャパンマシナリーを紹介されることになります。その場合はビトネスへご連絡をいただきますようお願い申し上げます。迅速なる対応をさせていただきます。
次回は「ADC12のマグネシウム (Mg):0.3%以下」品質検査について記述いたします。
