不審物

 昨日の日曜日のことだ。 

 私はお昼前に事務所にやってきた。玄関の扉を開けようとしとた時に扉の左側に段ボール箱が置かれているのに気が付いた。「何かの配達物かなあ。」と、思い、それ以上に何も考えずに事務所に持ち込んだ。

 件の段ボール箱をよく見てみるとそれは缶コーヒーだった。24本くらいが段ボール箱に入っている感じ。まとめ買いした時みたいな。しかし、送り状はどこにも張り付けられていない。いやそれ以前に私がそのような物品を物品をどこへも注文していなかった。よって、もともとあった場所、玄関の扉の左側にその箱を置いて昨日は帰宅した。

 今日来てみると、その箱はそのままそこにあった。#9110へ電話してどうすればよいのかを聞いたら「最寄りの警察署へ電話してください。」とのことだったのでその通りにして、警察署への電話で署内で1回回されてから担当部署が出た。比較的早く到着できた感じ。#9110へ話したのとまったく同じ説明をしたら最初は、「その箱を最寄りの交番まで持ってきてください。」といわれた。私が重いから嫌だったのものあるが「もし危険物とか毒物だったらどうするんですか?」と、言ったら、「これから警察官をそちらへ向かわせます。」とのこととなった。

 それから10分ほど経過後に一人の警察官がやってきた。私は先ほどとまったく同じ説明をしたあと、彼は「今回は拾得物として処理します。」とのことで、いくつかの質問を私にして、私の回答をメモしてから、その箱をもって帰っていった。拾得物は所有者が未発見のまま3か月が経過すると、拾得者へ所有権が移行するのだが、何が入っているのかわからない箱(おそらくは本当にコーヒー缶だと思われるが)をもらっても処理に困るので、所有権移行権利をその場で放棄した。警察官との対応は短時間で終わった。

 さてここからが私の感想である。

 まず順番的に最初に、#9110は不親切だと感じた。#9110は「110番するほどの緊急かつ深刻な事件ではないと思われることを相談する先」であるにもかかわらず、対応する人がいなくてしばらくすると通話が勝手に切られてしまう仕様なのだ。電話をかけてきた人は、辛抱強くリダイヤルするしかないが、何度も切られてしまうとあきらめてしまうかもしれない。また、しびれを切らして110番するのも本末転倒だ。本当は#9110に電話してほしくないのでは?とさえ思ってしまうほどだった。また今回は「所轄の警察署へ電話してください。」といわれたので、結果としては#9110ではなく最初から警察署へ電話すればよかったのである。猶更#9110の存在価値を不審に思ってしまう。

 次に、結果として今回の警察の対応は素晴らしかった。必要十分の対応であったと思う。

 過去に日本では、飲料自販機に農薬混入ドリンクを入れたり、小売店の商品棚に毒薬入り菓子を置いたりという物騒な事件が発生した。また、地下鉄サリン事件ではサリンの箱を素手で撤去した営団地下鉄職員が死亡した。今回の私に起こった「不審物」はそれらの事件とは全くほど遠い、本当に事件性が無いものだと思われるが、電話を受けた警察職員はそれを電話だけからは判断できない。最悪の結果を予想し警察官派遣との結果になったと思う。そして無事に処理された。

 警察で思い出したので話をもう一つ。

 昔、幾度か「日本法科学技術学会」という学会の併設展示会に出展したことがあった。そこで私たち一般市民にとっては非日常なご要望をお聞きしたことがあった。「火災現場などで白い小石のような物体の元素分析ができますか?」と。私は「もちろんできますよ。」と、回答した。そして続けた。「何を測定されたいんですか?」と。その回答は「人骨か石かの区別です。」だった。人骨と石の元素構成は全く異なるので判別は容易だ。それを火災現場で迅速に非破壊で実施できるマシンとしてすでに他社製機材複数台数を所有運用しているとのこと。それではなぜ私にわかりきったことを聞くのかとお聞きしたら、所有していらっしゃる機材と私が展示していた機材との違いが知りたかったかららしい。まず、同じ原理で動作する機材なので、基本性能は変わらないと思う。しかし検出器の壊れにくさはうちの機材が圧倒的だ。他社製機材のすべては測定実行時に検出器が無防備に露出する。測定時に何らかの異物混入があると検出器は即故障となり工場送りの修理が必要となる。私が担いでいる機材はその故障が発生しない。他社メーカーは「故障した機材の代替品を即日発送する。」そうだが、私が扱っている製品はその必要すらない。また検出器の交換修理には数百万円の費用が必要だ。測定中の故障ともなればメーカー責任ではなく使用者責任だから、初期不良保証期間内であっても修理は実費を請求されるであろう。そうなると、「故障後の機材使用が不可能」「代替機が使えるようになるまでの期間は機材が全く使用できない。」「修理費用が必要」ともなると、もはや他社製品は非常に高価なのではないだろうか。定価設定がもともと高価なのにである。その部分を市場にアピールしたいのだが「壊れにくくて当たり前」という、普通のことをアピールすることは非常に困難である。他社では普通ではないことを主張しなくてはいけないからだ。それだと他社製品の批判になってしまう。他社製品も非常に素晴らしい。特に市場占有率トップ2で90%以上の寡占企業の製品は、すでにブランドができ上っており、製品名称が「ハンドヘルドXRF元素分析装置」の一般名称のように使用されている。ブランドを立ち上げ維持するのも大変な費用と労力がかかっていると想像できる。しかし作り上げられたイメージと事実は完全に同じではない。検出器が壊れないとメーカー保証しているS1TITANはいかなる他社製品と異なり検出器が壊れないのだ。このことがどれほどユーザーの利益にかなっていることかを知ってもらいたいが、その実現には費用と時間がかかってしまうことが私の憂いである。また市場への認知度が上がっても皆様が弊社経由でご購入されるとは限らない。お客様はブルカー製品の見積もりを取るときに、出入りの理化学機器商社様へお声がけされる。その理化学機器商社様がブルカーの他製品正規代理店だとするとその営業マンはS1TITANも代理店権があると錯覚する。そしてブルカージャパンに問い合わせると正規代理店から購入するように言われる。S1TITANの正規代理店は現時点(2026年5月)では日本に2社しかないため、本社が福岡市の新興精機(弊社ビトネスは新興精機のハンドヘルドXRF元素分析装置の営業委託先である)よりも本社が東京の商社の方に話が流れると予想される。つまり間に入る理化学機器商社様のご意向のままなのである。しかしよく考えてほしい。商流に1社であっても商社様が入ると必然的にエンドユーザー価格が上昇する可能性が発生する。逆に言えば直接弊社へ交渉していただければお値引きの可能性が大きくなる。商社様にお声がけされる前に弊社に一度ご連絡をいただいてから、お客様にとって融通が利く出入りの理化学機器商社様へお話を通していただくことが良いと断言できます。

 弊社の大きな特長の一つは、私自身がブルカー製ハンドヘルドXRF元素分析装置の専門家であるということである。現時点では私以外に日本には専門家が存在しない。私自身がブルカージャパンの社員であった時にハンドヘルドXRF元素分析装置のセールス・アプリケーションマネージャーとして十分な教育を受け、実働していた唯一の人物だからである。また厚生労働省の免許「エックス線作業主任者」を所持しているので、お客様のⅩ線被ばくに対する不安を十分に拭い去ることができる。これらの特長は東京に本社があるもう1社の代理店にはないものだ。

 販売台数が非常に大きくなった将来のために、弊社営業担当者全員にはエックス線作業主任者免許を取らせて、アプリケーションの教育を十分にしてから職務に当たらせたいと思う。

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