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この前、一人暮らし用の部屋を探しにとある不動産組織を訪問した。今部屋に空きはないが空き待ちができるとのことだったので、申込書に記入して物件を外側から見学することにした。
物件の周囲を歩いて回って見渡した後、建物の中に入って廊下を見ようと考えた。今、扉が開いているエレベータに滑り込むと異臭がした。同乗している男性二人から漂ってきているようだ。さっき外に駐車しているトラックを見かけたので、引っ越しか何かだろうと思ったが、荷物は非常に少なかったように感じた。
エレベータ同乗者の若い男性2名から漂ってくる異臭は、単に長期間風呂に入っていないという感じではなく、私の人生でこれまで一度も嗅いだことが無い気持ち悪く形容しがたい臭いだった。そして二人のうちのリーダーっぽい人と目が合ったので思わず聞いてみた。
私「秘密だったら結構なんですけど、やっぱりあれですか?」
男性A「そうです。6号室なんですよ。」(部屋番号は聞いていない)
私「この建物って部屋数が非常に多くてすべてが単身者用物件のようですねえ。」
男性A「そうだったんですかぁ。先月もあったんですよ、処理が。だからかぁ。」
私「入居者の大多数が老齢らしいですねぇ。今月は気温が30度を超えた日もありましたから、冷房器具が備わっているのに稼働させずに熱中症になったんですかねえ。」
男性A「そうなんですかねぇ。」
そしてエレベータは最上階に着き、扉が開いた。我々がエレベータを降りた後、彼らは台車と共にエレベータを出たようだ。
最上階の廊下を一周すると、当然先ほど話題になった部屋の前を通ることとなる。件の部屋に近づいただけであの異臭が漂ってくる。そしてその部屋の前を通過しようとしたとき中が一瞬見えた。ベランダのガラス扉も玄関の鉄扉も全開放していたからだ。そして私は先ほどの男性に声をかけた。「中には入りませんので、ちょっと見てもいいですか?」と。彼は「どうぞ。」と快諾してくれたのでちょっとだけ中を覗いてみた。
ベランダ側から風が入り込んでいたからなのか部屋内を見ようと顔を向けた時に猛烈な異臭が私を襲った。しかし不思議と吐き気を催さなかった。すでに慣れてしまっているのだろうか。部屋の中は逆光でよく見えなかったが、まだ中には異臭の原因が残存しているように感じた。本体は無くなっても床などにしみこんでいるのだろう。私は気持ち悪くなったので鉄扉から遠ざかった。
部屋を見学したがっていた当人は「部屋の中をもっと見たいけど臭いが耐えられない。」と、言うので私が「いっぱい臭いを嗅ぎまくったら慣れて臭わなくなるで。」と、教えてあげた。
件の部屋は今後、全ての床や壁、天井をはがしてリノベーションをするのだろう。最上階だから家賃は高いと思うが最初に入る人は安くなるのだろうか? 今の段階は警察のチェックが終わった直後なのだろうか? この後どのようなタスクがあるのだろうか? など、いろいろ考えてしまった。
下りのエレベータに乗ると、先ほどの異臭が残り香のごとく漂っていた。部屋だけでなく、エレベータや通路など経路のすべてをも対策しないとダメだなと感じた。先ほどの男性たちは帰社してから事務所のシャワーなどを使ってから帰宅するのだろうか? 今日着ていた衣類なんかはすべて破棄するのだろうか? それとも事務所で洗濯するのだろうか? 事務所にも異臭が付くのではないだろうか?
昨年日本では160万人が死亡しているようだ。死ぬことは日常のできごとである。いつかはみんな死ぬ。昨年日本では100万人が病院で死んだようだ。GEMINI回答によると「以前は「病院で亡くなるのが当たり前」とされていましたが、その割合は減少傾向にあります。それに代わり、近年では老人ホームなどの「施設」や「自宅(在宅)」で亡くなるケースが急増しています」とのことだ。
若いころは死ぬことなんか一切気にしてなかったが、あとまだ数十年の寿命があるだろうとはいえ、気にしないわけにはいかなくなったような気がする。
