白金測温抵抗体

*本編は完全なる創作物です。登場人物や地名、組織名などはすべて空想上のものであり、仮に現実に合致するものがあったとしてもそれらとは何ら関係がございません。

 エヌ氏が会社の自室で事務作業をしていたところ、大卒新入社員のエス氏が入室してきてエヌ氏に声を掛けた。「エヌさん、少し教えていただけませんか?」と。彼女は熱電対が仕込まれた電池駆動の無線LAN機材システムについての営業担当となったのだ。その技術的仕様書について内容がわからないところを質問しに来ていた。エス氏をはじめ2名の新入社員教育の一端を引き受けていたエヌ氏は応えた。「なんでも聞いてください。」と。

 エス氏の質問内容は当該機材システム仕様書内の語句(英語)の意味やその語句が含まれる文章が主張したいことなどであった。数か所あったようだが、エヌ氏の説明にエス氏は満足したようだ。エヌ氏はその仕様書には記載されていないが、温度測定プローブについて熱電対と白金測温抵抗体の説明を追加で行った。 熱電対は安価で応答速度が速いことが特長、白金測温抵抗体は温度検知制度が高いことが特長であることなどだ。そしてエス氏は「ありがとうございました。」と言って部屋を出ていった。

 その直後である。同室のワイ氏がエヌ氏に言った。「エヌ君。別に盗み聞きしていたわけじゃなくて同室で聞こえてきたから注意するよ。間違った知識を若手に教えてはいけないよ。オレは10年以上も前の会社で温度測定器を販売していたんだから君よりもよく知っている。熱電対の方が白金測温抵抗体よりも精度もいいことが常識なんだよ。」と。

 ワイ氏は自分が世界中で自分が一番正しいといつも考えている。彼が自分よりも上と考えている人(部長社長会長など)に対しては歯向かわないが同じ考え。

 エヌ氏は白金測温抵抗体についてJIS規格のページを検索して、黙ってワイ氏に提示した。

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