私がハンドヘルドXRF元素分析装置を購入するのなら、この点を抑える。というのは専門家の私にとって困難ではないので、私がよく知らない、わからないものを購入するときのことを想定して話を進めたい。
XRF機材に限らず、車でも缶飲料でもなんでもモノやサービスを購入するときには理由がある。悪銭身に付かずのような使い方は別だが、物を購入するには動機や理由が必ず存在する。つまり最も大事なことは、「本当にそのモノが必要なのか否か。」である。
XRF機材について考えると、ほかのモノでは代替できない機能をXRF機材が持っているということになる。例えば金属スクラップ分別の場合は、鉄とニッケルの区別を非破壊で明確にできる方法や機材はXRF機材以外には無い。SUS304とSUS316を非破壊で区別できるのもやはりXRF機材だけだ。しかも短時間でだれが操作しても同じ結果を得られる。客観的な(科学的な)測定を短時間で実施できる機材はほかにはない。プラスチック中の塩素濃度測定も、XRF機材以外に選択の余地が無い。現代では赤外線吸光度を測定して被測定物中の官能基の種類と濃度を計算する機材が複数の企業から「プラスチック判別装置」という感じの名称で安価に市販されているが、日光にさらされてプラスチック分子中の架橋が切れている場合には正しく測定できないことが多い。また、光源に白熱球やそれと同等なスペクトルを持つLEDを採用しているために、屋外では日光が阻害して測定が極めて困難である。よってXRF機しか選択の余地が無いのである。RPF中の塩素濃度測定もJIS法だと極めて多くの手間と時間がかかるがXRF機材を採用すると短時間でJIS法と相関ある測定結果を得られるために、RPFの出荷検査(品質検査)に採用していただいている。
つまり「事業に必須な機材なのか?」であり、その必須な項目を明確化客観化しておかなければならない。それは数値と単位を伴って表現されるものである。
次に考えなければならないことは経済性である。つまり価格。例えば製造業だと製造設備を何千万円何億円何十億円とかけて、それらを何年かかけて償却する。つまり企業活動の売り上げ額に対してどこまでを機材の費用として許されるのかを予め決めておく必要がある。弊社の例だが、弊社でYoutube動画を制作しようとしたときに複数の制作会社に問い合わせをしてみたところ、価格が全く合わなかった。中には俳優さんの肖像権使用料が1年間で1千万円を超えるという会社もあった。当然ながら予算に合わないためにお断りしたが、彼はしつこく「必要性」を私に訴えていた。必要なことは百も承知だ。しかし価格が合わなさ過ぎた。そのことを伝えてもしつこく食い下がってくる会社があった。結局Youtube動画への出演俳優は知人に依頼し、動画は私自身が制作した。後で別の友人に聞くと、案件募集をしているYouTuberへ依頼すればよいとの方法を教えてもらった。
話は戻って「機材に必須な項目」について述べる。
モノを購入するときに必須な項目と必須ではない項目の優先順位は、購入者によって異なるのが普通である。例えば私は家電製品を購入するときにはP社製品だけは絶対に購入しない。これはブランドで購入決定していることを意味している。しかしながら三洋電機のエネループ技術を吸収しているので、充電池は仕方なくP社製品だけを買うようにしている。この場合は製品の性能で購入決定をしている。またタバコのように販売会社の選択の余地が無い商品も世の中には存在する。唯一無二の物は強い。
XRF機材も同じで、現在使用している製品が長年問題なく使用できているのであれば、次回も同じメーカーの製品を購入するべきである。しかしながら今使用している機材に耐えがたい問題があったりサポートが不適切であるのであれば、他社製品に乗り換えたほうが良い。初めてXRF機材を導入するのであれば、トップメーカー品が無難である。世界中のパソコンOSがウィンドウズであるから、ウィンドウズのアプリや解説動画が世の中にあふれているのと同じで、無難である。しかしながらトップメーカー品は高価である。なぜなら無難であるからだ。トップメーカーは信用を価格に変換しているのだ。エルメスの革製品が高価なのと同じなのかもしれない。
さて、ハンドヘルドXRF機材は日本での市場が年間600台程度と言われている。ウィンドウズPCとは比較にならないくらいに小さい市場である。ワブテック(旧エビデント、旧オリンパス)とサーモフィッシャーサイエンティフィックの2社で日本市場の9割以上を寡占している。と言っても最大値がせいぜい600台なのである。すなわちメーカー側は日本市場だけを見ていては商売にならないために世界的な販売戦略をもって営業していることがうかがえる。ちなみに世界市場ではサーモフィッシャーサイエンティフィックの次にブルカーが市場を占有している。そういう意味ではブルカー製品も無難であるが日本では宣伝広告に力を入れてこなかったために市場への認知度が極めて低い。裏を返せばトップメーカー品よりも安価であることが想定できる。(ブランド確立、維持のための広告費などをかけていないため。)
ブルカー製ハンドヘルドXRF機材の工場はCPTPP加盟国マレーシアに存在するため関税が無い。他のメーカーは米国や中共に工場を持っている。サポートもブルカージャパン株式会社のほか株式会社新興精機にもサービス人員を配置し、株式会社ビトネス(ブルカーハンドヘルドXRF機材の専門企業)がお客様への窓口となり迅速な故障診断に貢献している。これは購入の決め手になるのかもしれない。
最後に注目すべき内容は「Ⅹ線被ばくへの対策」だろう。
私は理系であり物理学は得意科目であったが、エックス線作業主任者免許を取得するまでは実は何もわかっていなかった。ハンドヘルドXRF機材の営業活動では「被ばくするんでしょ?」とよく聞かれる。実際にハンドヘルドXRF機材はⅩ線を放射しているので全く被ばくしないということは考えられない。しかしながら被ばく量は極めて微量であり高感度なサーベイメーターなどを使用しなければ測定できないレベルであるし、また自然被ばく量よりも少ない。放射線防護や資格が無くても操作できるという現状がそのことを証明している。(特別教育の受講は2026年4月から義務化されました、株式会社ビトネスではXRF機材ご購入のお客様には、追加料金なしにて「特別教育」を実施いたします。また、他社製品等所有者様にも有償で特別教育を実施いたします。)
このⅩ線被ばくへの心配の排除は極めて重要である。これを的確に行うにはエックス線作業主任者免許など専門知識を持たなければできないが、多くの営業マンはそうではないと思われる。
